ご存じでしたか?
実は、フィンランドの建築物は世界的に高い評価を得ているのです。
しばしば「北欧モダニズム」と言われ、独自の進化を遂げたフィンランド建築の秘密について紹介します。
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フィンランド建築のテーマ
フィンランドの建築の歴史をたどると、根底に「自然との一体化」というテーマがあります。
ヨーロッパの主な建築材料は、レンガ、鉄、コンクリートなどです。
一方でフィンランドは、昔から木や石などの自然にある素材を使っていました。
他の国から影響をうけつつも、自らの国にあるもので作れるよう独自に変化させたのです。
中世 素朴な石造り
中世の教会のほとんどは、花崗岩を積み上げた上に切妻屋根をのせただけという、非常にシンプルな作りでした。
これらの教会の内壁には、フレスコ画が描かれています。
16世紀ごろ描かれたもので、キリストの物語を読みとることができます。
近世 木造
近世にはいると、建築資材として木が使われるようになります。
例えば、世界遺産に登録されているペタヤヴェシの教会は、バロックやルネサンスなどの様式でありながらもフィンランドの木造技術が使われています。
積み木の家のようなかわいらしさがありますね。
近代 ヘルシンキの街並みはフィンランドらしくない?
こちらは首都ヘルシンキの街並みです。
レンガ壁を白く塗った建物が並ぶ様子は、「バルト海の白い乙女」とも呼ばれています。
フィンランドというと、このような白い建物の並びを想い受かべる人も多いのではないでしょうか。
一方で、こちらはスウェーデンの首都ストックホルムの街並みです。
建物の形がそっくりですよね。
これらは新古典主義様式と呼ばれ、19世紀前半にフィンランドにもたらされたものです。
フィンランドは長年スウェーデンの支配下にありましたが、この頃からロシア帝国の支配下に入りました。
ヘルシンキは新しく首都になり、ドイツ人建築家エンゲルが約30の主要な建物を設計しました。
あのヘルシンキ大聖堂など、17の建物が現存しています。
ここでわかるように、ヘルシンキの真っ白な街並みにフィンランド的要素はほぼなく、他のヨーロッパから来た建築構法や様式がそのまま使われているのです。
近代建築とフィンランドらしさの融合
19世紀末になると、民族のアイデンティティを求める動きが展開されるようになりました。
それと共に、かつてのように自然の要素を取り入れた建築物ができました。
現存する公共建造物でいうと、ヘルシンキ駅があります。
石造りになっており、中世の教会を思わせます。
住宅の「フィンランド化」と北欧モダニズム
20世紀に入ると、公共建築物だけでなく住宅にもフィンランドの要素が取り込まれるようになります。
ヘルシンキ駅の設計者サーリネンを中心とした建築家たちは、自然との融合を求めてヘルシンキ郊外の森に自らの住宅をつくりました。
やがて都市部の住宅も、並木道など自然の要素を取り入れて建てられるようになりました。
そして1930年代末には、世界的にも評価の高い建築家アールトによる「マイレア邸」が出現します。
この建物は「北欧モダニズム」の代表的作品で、森に埋もれるような形で存在しています。
モダン建築の「鉄やコンクリートでできた無機質な箱」といったイメージとは完全に異なり、石や木といった素材でぬくもりのある空間が表現されています。
フィンランドの建築の歴史は、ヨーロッパの近代化の様式を取り入れつつ自らの文化や土壌に合わせて変えていく、というものでした。
この繰り返しが、技術と自然の融合を高いレベルで実現する「北欧モダニズム」の生まれる背景となったのです。
いかがでしたか?
今回はフィンランド建築の秘密について紹介しました。
是非参考にしてくださいね!
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