皆さんは、カレワラが何かを知っていますか?
フィンランドを語る上で欠かせない非常に大切なものなのですが、知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、カレワラについてざっくり紹介します。
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カレワラとは?
カレワラとは、カレリア地方(現ロシア領)を中心に口承で歌われてきた叙事詩集のことです。
1835年に医師のエリアス・ロンルートが編纂したのが最初です。
口承されてきたものなので、リズムをよくするため言葉を繰り返す部分が多いです。
そのため、文章で読むと意味がとりづらく、難解な内容だと言われています。
しかしフィンランドでは小学校からカレワラについて習います。
カレワラは誰もが知る国民的文学なのです。
また、フィンランドの音楽や美術に多大な影響を与えてきました。
カレワラが生まれた背景
カレワラが生まれた19世紀は、600年にも及んだスウェーデンの統治下からロシアの統治下に移ったころでした。
スウェーデンによる統治時代の末期、知識人の間で「自分たちは何者なのか」という問いが芽生え始めます。
その問いに答えるべく、「民族の文化は、低い階級の人々(農民など)の間で口承されている伝説からわかる」という思想のもと、詩の採集や編纂が行われるようになりました。
あの有名なグリム童話も、似たような背景で編纂されました。
国家を統一できず近隣諸国に後れを取っていたなか、グリム兄弟は童話を編纂することにより、ドイツ民族の連帯を図りました。
詩の研究によってフィンランドの民族性を追求するという動きは、ロシアの支配下に入ったあとも続きました。
カレワラが与えた影響
カレワラはフィンランドの民族の象徴とされ、絵画や音楽、文学などの芸術に大きな影響を与えました。
この風潮を「カレリアニズム」と言います。カレリアニズムは「フィンランドのルネッサンス」とも呼ばれています。
芸術家たちの間で、作品作りのためにカレリアを訪れることがはやりました。
スウェーデンからロシアの支配下に移り、ロシア化政策が行われても、この動きは衰えるどころかますます盛んになっていきました。
カレリアの内容を表現した芸術家たち
フィンランドの有名な画家アクセリ・ガッレン=カッレラは、カレワラの内容を描いた絵画を多く残しました。
また、交響曲「フィンランディア」で有名なジャン・シベリウスは、「カレリア」というタイトルの組曲を作りました。
https://www.youtube.com/watch?v=MfcEWBqjHbY
カレリアニズムの建築
カレリアニズムの建築は、現在でもみることができます。
ヘルシンキ駅はその代表で、花崗岩を積み上げた外壁が独特の雰囲気を醸しだしています。
カレワラはフィンランド人の精神の現れ
カレワラは「英雄の国」という意味があり、困難を乗り越えていく物語はフィンランド人の精神を表していると言われています。
フィンランド語で「シス」という言葉があるのですが、不屈の精神などの意味があり、フィンランド人の民族的性格を表す言葉として使われます。
カレワラの物語は、厳しい寒さの大地で長年他国の支配のもと生きてきた彼らと重なります。
カレワラが民族の象徴とされるのは、上記のような理由もあるのでしょう。
おまけ:カレワラと様々なものの関係
サウナ
フィンランドといえばサウナを思い浮かべますよね。
カレワラにはサウナの出てくる場面があります。
サウナ文化はかなり古い時代からあると言われていますが、昔は神聖な場所とされていました。
カンテレ
カンテレとは、フィンランドの竪琴のようなものです。
カレワラの中では、天才詩人ワイナモイネンが創り出したと書かれています。
カレリアを語るときは、カンテレを奏でながら歌うように語ります。
琵琶を奏でながら平家物語が語られるのと似たような感じがしますね。
いかがでしたか?
今回はカレワラについて紹介しました。
是非参考にしてくださいね!
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