「サーミ人」をご存じですか?
彼らはスカンディナビア半島の民族を語る上で
欠かせない存在です。
どんな民族なのか?
どんな生活なのか?
国の中ではどのような立場なのか?
サーミ人について紹介したいと思います!
Contents
概要
「サーミ人」とは、
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがる地域、
いわゆるラップランドに住む先住民族のことです。
民族系統はアジア系に近いとも言われますが、
はっきりとしたことはわかっていません。
主な使用言語はサーミ語です。
サーミ語は、フィンランド語やエストニア語と同じ
ウラル語族です。
多く分けると、9または10の方言があります。
一部の方言では話者人口が500人ほどしかいないものもあり、
言語の存続や継承が課題となっています。
北欧の3か国では、
「祖父母のうち1人でも家庭内でサーミ語を使用していること」
がサーミ人の定義となっています。
サーミ人の生活様式
伝統的な生活様式
サーミ人は、身の回りの自然を活用しつつ
近隣の民族と交易をして暮らしてきました。
サーミ人の伝統的な生活様式は、
住環境や仕事によって分かれています。
住環境での区分は、山岳サーミや海サーミ、
湖のサーミや森林サーミなどがあります。
具体的な仕事としては、手工芸や狩猟、漁業、
トナカイ放牧などが挙げられます。
現代のサーミ人の生活様式
しかし現代では、
トナカイ放牧などの伝統的な仕事に従事する人は少なく、
大半は普通のサラリーマンとして生活しています。
伝統的な仕事や生活スタイルは、
先住民に対するステレオタイプであるとして敬遠されていました。
しかし近年は、観光や音楽など
サーミ人の間でも仕事が多様化したことにより、
サーミ文化発展や民族のアイデンティティの象徴として
伝統的な生活スタイルを活用しようという考えもでてきました。
フィンランドにおける、先住民としての待遇
フィンランドでは現在、
サーミ人は国内唯一の先住民族としての立場と権利を
憲法で保障されています。
しかし、立場と権利が保障されるようになったのは
1990年代以降のことです。
第二次世界大戦まで
この頃までは、近代国家の統一のために、
言語や文化は均一的であるべきだという思想が根強くありました。
このことで、少数派であるサーミ人が、
国内で多数派によって同化の圧力をかけられる事態が続いていました。
例えば、学校教育でサーミ語の使用が禁止されることがありました。
戦後~1990年代
戦後、世界的に人権に対する意識の芽生えや民主化運動がおき、
フィンランドもその流れに乗ることになります。
1970年代には文化復興や学校教育におけるサーミ語の復活など
サーミの文化を取り戻す動きがでてきました。
サーミ人の意見を政府に表明する機関である
「サーミ議会」が設立されたのもこの頃です。
1990年代にはいると、法整備も進みます。
サーミ語に関する法律では、
サーミ語がサーミ人の住む地域において公用語として使われることが
認められました。
今後の課題
法や憲法によってサーミ人の地位は強化されてきていますが、
まだ課題は残っています。
先住民として代々受け継がれてきた土地や水源といったものの所有権が認められるかどうかです。
先住民としての地位向上や権利回復の余地は
まだまだあります。
いかがでしたか?
今回は、サーミ人とはどんな民族なのか、そして彼らの現状について紹介しました。
是非参考にしてくださいね!
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